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2018.12.4

白熱ヤンキー教室@東京大学駒場祭〜非大卒の若者の現状と今後の可能性を、東京大学で考える〜イベントレポートNo.2

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非大卒の若者向け就業・自立支援を行う株式会社ハッシャダイ。
その創設メンバーである勝山恵一が、非大卒市場の可能性を広げる活動している少年院法務教官・安部顕とラッパーの晋平太と共に、現代の非大卒若年層の学歴格差・経済格差・機会格差について、そして市場の現状と可能性について、東京大学の駒場祭(2018年11月24日)にてイベントを開催しました。
日本一の大学、”東大”で”非大卒”をテーマに行われたイベント、その名も「白熱ヤンキー教室」。No.1に続いて、第二部のパネルディスカッションの様子をご紹介していきます。

ヤンキーインターンが生まれた経緯、選択肢がない地域・環境の若者について

司「ヤンキーインターンが生まれたきっかけは?」

勝「ハッシャダイの前身となる会社ができたのが、2015年の5月なんですけれども、そもそもこのヤンキーインターンがどういう経緯で作られたのかと言うと…ハッシャダイの代表が久世と言うんですけれども実は僕は久世の妹の旦那なんですよね。親族なんです。創業メンバーは5人います。久世と僕とあと地元の友達三人。で、僕が、義理の弟みたいな感じで本当に身内で始めたんですけど…。なんで始めたかと言うと、久世は大学に行きました。最終学歴は高卒なんですけれども大学に進学しました。大学に行っていたんですけれども大学在学中に大阪の営業会社で働いていたんですよね。で、その営業会社にのめり込んで大学中退したんですけれども、そこの営業会社で2年間働いた後に京都で始めたんですけれども全然地元には戻ってこなかったんですよね。で、2年越しで地元に戻ってきたら、自分はこの2年間でものすごく成長したのに、自分が地元に帰ると地元にいた友達と僕は全く変わってなくて2年前と。全く変わらず2年前と全く同じことを繰り返していたんですよね。僕の場合はどうしていたかと言うと、朝起きてパチンコ行ってパチンコ行ったらバイクで暴走してそのまままた朝まで遊んで、で、スロットを打ってって言う繰り返し生活していたんです。そうなったときに僕、実は子供ができたんですよね、当時付き合っていた彼女と。子供ができたときに仕事探さないといけないと。でも僕なんも知らんかったし、できることってなんなんだろうっていったときにものすごく限られていたんですよね。で、どうしようどうしようやばいってなったときに、お前営業やってみないかって言うことを久世に誘われました。で、とりあえず僕もなんもする事ないし何かしないといけないしって言うので一時期はお腹の中にいる子供を中絶して僕は地元を離れてホームレスになろうと思ったんですよね。って言うときに拾っていただいて、あとは久世の地元のメンバー全員がやろうぜ!って話で営業会社ができました。で、その営業会社ができたときに僕たち初めて営業やったわけなんですけど、4ヶ月連続で日本一の営業成績を出すことができたんです。ってなったときに僕の周り、僕の小学校がいわゆる京都の治安が悪いって言われていた所で育っていて、1学年の半分以上が児童養護施設出身の子達なんですよ。周りは親もいなかったり、性的虐待を受けたり、捨てられたりとかしている子が多くて。僕、今23歳なんですけど、周りの自分のめちゃくちゃ仲良かった友達5人自殺しているんです。っていう部分で先天的要因、生まれ持っている要因での格差みたいなをなくしたいなって思いが僕はすごくありました。周りにいる先生とかは中卒高卒でもう将来決まっているとか言っていたけどそんなことないよねって僕は。営業で一位とったときに。っていう中で僕もそうですし、久世もそうだと思うんですけれど、もっと世の中の中卒高卒の方達に対して1つのことについてしっかりと学んで何か成果を出すように取り組めば輝けることができるんだよって思うようになって、じゃあこれ東京でしっかりとカリキュラムを作ろうよっていうのでヤンキーインターンを始めました。」

司「勝山さんヤンキーインターン生1号?」

勝「はい、一応ヤンキーインターンのロールモデル的な感じで僕はいます。」

選択数を増やしてもらうことが目的

司「で、その後ヤンキーインターンから300人くらい卒業なさったと。それをやりながらやりがいだったり難しい部分を教えてください。」

勝「そうですね、ヤンキーインターンに今きている子達っていういのが…今ってそもそも圧倒的に大卒主義というお話させてもらったと思うんですけれども、中卒高卒の子たちの選択格差、機会格差って本当にあると思うんですよ。で、北海道とか沖縄とかの田舎町に行くと検索の仕方がわからないんですよ、Googleがあるのに検索の仕方も勉強の仕方もわからないっていう子達がたくさんいるんですよね。そういった子達に対して機会提供できているっていうのはとても良いことだなと思っているんですよね。で、ヤンキーインターンの生徒たちは卒業した後に就職することが絶対ではなくて、何を目的としているかっていうと選択数を増やしてもらうことが目的なんですよ。今まで地元だったら行けなかった企業だったり、選択することができなかった選択ができるようになることが重要だと思ってるんですよね。だからこそヤンキーインターンに来ている子たちはヤンキーインターンに来てから、もう一回やっぱり俺職人になるわ!って言って鳶の職人を目指すわ!ってもう一回、前職の仕事に戻る子もいるんですよ。僕はそれめちゃくちゃ素晴らしいなって思って。選択数がある中でやっぱり俺はこれが好きだ!って選ぶことが一番重要だなと思っていて、それが僕はまさにchoose your lifeだなと思っていて、自分の人生を自分で選択してくれている若者たちがいること、卒業生たちが自分の人生を自分で選択しているところを見るとやっぱり僕もすごく嬉しくなりますよね。まぁだからヤンキーインターンの説明でも話したんですけど、一定層の若者にしかヤンキーインターンを届けられていないんですよね。ある程度の文化資本とか社会関係資本とか情報っていうものをある程度自分で取得することができる若者にしか届かないんですよね。TwitterであったりFacebookを見ている子。本当に僕の地元にもいるんですけど、Twitterのフォロワー30人しかいないのに鍵アカウントにしている子もいるんですよ。意味わからないじゃないですか?なんのために鍵つけてるん?みたいな(笑)そんなんとか、本当に検索の仕方とかわからない子達に届けられていないのが一番の課題かなと思っていますね。」

司「それに対して先ほど話してくれたリゾートインターンがあるんですよね?リゾートインターンの可能性とは?」

勝「それでいうと比較的簡単に若者たちを移動させることができるというのが一番のポイントかなと思っていて。実体験でもあるんですけど、少年院の仮出所の再犯率って何%くらいでしたっけ?」

安「データの取り方も色々あるのであまり信ぴょう性のある数字ではないかもしれないですけど、だいたい20%弱くらい、5人に1人くらいですかね。」

勝「そうですよね、僕の実体験でもあるんですけど、僕の周りにも少年院出身者ってたくさんいるんですよ。少年院出身者って出所してから2、3日はめっちゃ真面目なんですよ。めちゃくちゃ真面目。でも1週間、2週間経つとまた同じ地元の仲間と、同じような価値観で、同じような言語を使って、その友達がいるからこそまた再犯を犯してしまうというケースは結構あると思うんですよね。これだけだとコミュニティ依存なんです。そのコミュニティの価値観とそのコミュニティが当たり前だと思ってそのコミュニティの中では正しいと思ってしまうみたいな。簡単にいうと、例えば覚醒剤をやっているグループがあって、その覚醒剤をやっているグループの中では覚醒剤って正義なんですよ。」

安・晋「そうですね。」

“移動”をすることでコミュニティ依存から抜け出させる

勝「それこそケミカルも、日本ではダメだけれども海外ではオッケーだし、これがダメな理由っていうのがわからない。本当にそこの中ではオッケーになっちゃっているものってあると思うんですよね。それは本当にコミュニティから出てみないとわからない。僕はコミュニティ依存している若者たちに移動してもらうことによってすごく重要だなと思っていて、ハッシャダイリゾートはその移動させられる一番の重要な事業だなと思っています。」

司「ハッシャダイとして移動体験というのがどういう風に若者を変えているのかという部分をお聞きしたいです。」

勝「晋平太さんも移動体験されてますよね?」

晋「移動体験…多分そのコミュニティ依存の話とか移動の重要性とかすごくわかる気がして。僕は全国をラップをすることによって旅していたんで、その街その街のしきたりがあって、風習があって、その街のルールがあってその 街にかなり染まってしまってっていうのはすごく分かるんですけどね。でもそこを飛び出る勇気っていうのもやっぱり後ろ指をさされたり、すごく必要な物事じゃないですか。それを良しとはされないしね。一定数のそこにいる 奴からは裏切り者になるわけだし…っていうのは恐ろしさだよね。でも逆に言えば僕が今、ここでお話しさせてもらっていること自体が自分の本来いるフィールド、ヒップホップやラップやクラブやストリートって呼ばれているところからしたらだいぶ移動したなって思うんですよね。本来ならばラッパーってここに座っていないし。でも僕は自分のいた文化や場所を誇りに思っている反面、すごく閉鎖的で嫌だなって思うこともたくさんありました。だから、色んな活動をしてみようって、色んな人が協力してくれて今ここに座っているんですけど。こうしてみると多分、僕にとってのみんなと昔の仲間や自分を繋いでくれている言語がラップとかストリートって言葉しかなかったんですけど、その共通言語を持っていなくても、その、志とか、勝山さんと僕のやりたいこと、安部さんと僕のやりたいことって大枠一緒なんだなって。その方法が僕はラップだった、それがハッシャダイだったとか、そういう同じような…僕らはバイブスって言うんですけど。同じバイブスを持っている仲間がこんなにたくさんいるんだなって。例えば僕らはB-BOYっぽい格好をしていないやつとかヒップホップ聞いていないやつとか…”普通の人”があまりいない環境だったんで。それはヤンキーも同じだと思うんですけど。ヤンキーがヤンキーじゃないやつをナメてるみたいな。僕はB-BOYじゃないやつとかヒップホップを知らないやつをどっかでナメてて。でも世の中にそんなやつって数少なくて。さっき言った常識な話と同じなんですけどヒップホップを知っている人の常識なんてみんなとは違うものであって、でもそれに依存をしていて。でもそれをやっぱり飛び出てっていろんな人間と触れ合うことだけでも大きな移動になりますよね。隣の街から隣の街で普通にバイトをしてみるとかね。それが勇気のいることであることかもしれないですけど。」

安「偶然にも僕、晋平太さんと地元が近いんで、地元の駅もよく分かるんですけど、全く同じ感想を持ったことがあるんですよね。東京でサラリーマンの教え、後ろに今日きてくれているダンス仲間とか東京のコミュニティができた時に地元のやつらの同窓会とかあると、こいつら高校の時から話していること何も変わってないなって。あまりにも閉鎖的で。僕はすごく地元は好きですがこの人たちといると世界が狭くなって終わりだなって。東京に出てきてダンス仲間と出会って海外経験の話を聞いて、俺も海外に行きたいなと思って行ってみたり、パレスチナ行った時にパレスチナ人がブロックパーティーやってくれて、街角でDJブース構えて。で、ダンサーいなかったんですけど、お前踊れるだろ?って言われて踊らされて。パレスチナの難民のど真ん中で。で、僕ら異国の人が40人くらい作業しているんで普段子供とか絶対でてこないんですけど、僕自分から踊らせてもらったら自ら子供達が50人くらい出てきて、総勢100人くらいで。共有するものがあれば外に出られるっていうのは本当にその通りだなと思っていて、外に出ることによって前に進んでない人たちのコミュニティから抜け出せるっていうのはとっても大事なことだなと思うし、少年院でもそういう話はよくしますね。彼らは出てから友達がいなくなるということをすごく恐れているので、コミュニティを抜け出す覚悟を持てるかというのは大事なことです。」

ハッシャダイカフェがある理由

勝「だからこそハッシャダイカフェも作るんですよね。地元のコミュニティから一歩抜け出す勇気ってすごく必要だと思うんですよ。で、抜け出した後に自分挫折した時にそのコミュニティに戻るであったり、東京に上京してきたけどすぐ地元に戻るのは自分的にプライドが許せないみたいな人っていっぱいいると思うんですよ。そういう人たちのためにハッシャダイカフェがあって相談ができる環境があったらいいなと思うんですけど…移動の可能性っていうものでいうと僕自身が体現できているものでいうとTwitterで白熱ヤンキー教室ってハッシュタグ検索してもらうと僕の昔の写真が出てくるんでマジで見て欲しいんですけど、僕体重今より18,9kg位痩せてて、この辺も傷だらけで、もうなんかなんて言ったらいいのか、今回のポスターよりひどい顔っす。でも何で変わったのかというと、使う言葉が変わったんですよね。地元にいた時って本当に汚い言葉を使っていたし、すぐに相手に対して侮辱する言葉を使ってしまったりってことがあったんですけど、本当に環境が変わっている人が変わることで、使う言葉が変わって自分自身ありがとうって言葉を使うことがすごく増えたんですよね。ありがとうって言葉を使うことによって笑顔になって、眉間のシワががなくなってきて、自分自身、すごく人とフラットに付き合えるようになったんですよね。それって何でなんだろうなって考えたら、地元も大切だけれども違う人々と出会って違う人々の価値観と多様性に触れたからこそ、こういう生き方もあるんだなって知れたからこそ、僕は今の自分があるんですよね。っていうところで僕は移動していなかったら自分はそうなっていなかったという意味でいうと本当に移動って重要なんだなと思います。」

〜質問タイム〜

晋平太へ:ラップを知らない、普段聞かない人たちにその魅力を語る時、一番伝えたいことはなんですか?

晋「ラップをお前もやってみろよっていう定義でいうとすれば、扱うのは言葉なので道具は一切いらないんですよね。お金一切かからないんですよね。場所全く取らないんですよね。そんな環境で始められる物事ってあります?って。野球始めるならバッドとグローブ買うでしょ、サッカーやりたかったらボール必要でしょ、音楽でギター弾きたかったらギターいるでしょ?でもラップは何もいらない。自分さえいて、言葉さえあればできるし。しかもそ の言葉さえ無料でどんどん増やせるし。お金がかかんないでどんどん増やせるアイテムなんてこの世にあります?だからラップ最強って。人がいればできる。」

勝山へ:非行少年が自分自身のキャリアを真剣に考えられるようになるためには、どのようなきっかけが必要ですか?

勝「移動です!本当にそうだと思います。地元の良さも、地元ってめっちゃいいよなって言ってる人間って地元に残 っているやつで、言う資格あまりないなと思っていて。地元から離れたからこそ、地元の良さが分かるんであると思うんですよね。自分が一回地元から離れて色んな人を見た上で、やっぱり地元が一番いいなって言うのって色んなところから移動したからこそだと思うんですけど、移動をして世の中にはこんな人たちがいて、こんな志を持ってこんな働き方をしているんだっていう人たちがいるっていうのは、地元にいればわかんないんです。だからこそ、移動をして色んな人と出会って色んな価値観がある国とかに行くことで自分というものを知れると思うんですよね。で、自分というものを他人を相対することによって自分はもっと変わらなきゃいけないなとか自分の中でもっとこういったことをやりたいなっていう気づきができるんじゃないのかなと思いますね。」

安部へ:高卒後、大工など職人系の仕事に就いたんですけどその後ドロップアウトしてしまった人のセカンドキャリアの導き方は?

安「今はもうここ数年フリーランスとかいろいろな働き方が増えているので、まずは自分のこれまでの経歴とか今やってみたいこととかを発信していくっていうのもいいんじゃないのかなと思います。実は今日、僕にとっては初挑戦の場ですけど、これだって僕がちょっと色んなところで発信していたから繋がった人たちに声をかけてもらってこういうところへ来れているし、それがお金に繋がるかっていうとまだわからないですけど。色んなことをまず発信してみる、それは別にネット上でとかだけじゃなくて、隣にいる人に言ってみることとか。それこそやっぱり言葉はパワーを持っているということは僕もとても思うので、それこそ言ってみるということから次のアクションはきっと生まれてくるんじゃないかなって、自分の体もそっちに向いて動き出すんじゃないのかなって。お金もないコネもないっていうところから一番最初にやれることかなと。自分がまず今思っていることを言ってみるっていう。具体的な話じゃないかもしれないですけどそれはとっても大事なことかなと思います。」

晋平太へ:夢に優劣はあると思いますか?

晋「夢に優劣ですか?あ、魚屋になりたいとかと億万長者になりたいとか?いや…なくないっすか?魚屋やりたくて思いっきり魚屋やってるやつより、お金をいっぱい持ってれば偉いって訳では絶対ないし。なんなら別に夢はないけど、億万長者になったやつと死ぬほど魚屋になりたくて魚屋をやっているやつ。まぁ、魅力じゃないですか?夢に優劣はないけど、自分でやりたいことをやっている人って、なんかこう使命感を持ってやってる人っていうの は魅力的な人が多いと思いますけどね。」

司「晋平太さんの夢は?」

晋「俺の夢は最初の夢はラッパーになりたかったので、とっくに叶ってるんですよね。で、そのラッパーになっている状態を持ちながら、別にラッパーになっている夢は叶っているけれど、で、ラップを好きになってくれる人を今は増やしたい。みんながラップをするようにしたい。今はですけどね。どんどん変わっていきますよね、なりたい自分というのは。」

勝山へ:振り返ってみて、18歳とかで大学に入らなかったことによって起こった機会格差とかデメリットは何かありますか?

勝「今現在でいうと、正直ないです。地元にいたときはありました。というか気づけなかったっていうのが一番大きいかなって思います。18歳でおそらく大学に進学していない、地方にいる子達ってそもそも、東京の企業で働くことなんてできないと思っている子の方が多いですよね。というのと自分が東京でいわゆる名の知れた大企業で働くことなんて、まず面接さえ受けられないって思っている子たちがほとんどです。僕も沖縄で1000人とか、地方で高校生に講演したりとかしにいくんですけど、自分が東京なんかにいける筈がないと思っている子たちがほとんどです。だからそもそもデメリットっていうか、自分の中で行けないって遮断してしまっていることの方が多いのではないかなと思います。僕もそうでした。」

安部へ:少年院の中にヤンキーインターンを取り入れる可能性ってどれくらいあって、またそ れを実際に取り入れるってなったときに課題になりそうなものはなんですか?

安「鋭い質問ですね。まず、一番の壁はハッシャダイが民間企業だというところですね、ズバッと言ってしまうと。民間企業と国の施設が連携しようということは別に法務省に限らず色んなところが言っていることで、本当はどんどん推進したいことなんだと思うんですけど、その一方で国の施設が一企業の利益を応援するようなことがあってはいけない、国民全体の保護者として、ということがあるんで、直接その…例えば高校から大学への指定校 推薦みたいにお前ハッシャダイ行って来い!というようなことが言えるかっていうと難しい。ただ、講演活動していただいたりとかして自分たちで行きたい!っていう子達が増えてくると思うので自主的に子供達がハッシャダイに行ってみたいと思えるのが一番いいのかなと。まぁそこにはまた別の制限も出てくると思うんですけど…保護観察っていう制度は人の移動を制御するので。そういう制限は色々出てくるとは思うんですけど、子供達が自主的にハッシャダイに行きたいという形になるのが一番いいのかなと思います。」

勝山へ:ヤンキーインターンを知るきっかけは現在どのように作っていますか?

勝「ヤンキーインターンに入ってくる子のほとんどがTwitterかインスタグラムです。Twitterかインスタグラムとあとは沖縄、北海道の高校生とかでいうと、僕たちレペゼン地球っていうユーチューバーたちと一億円プレゼント企画っていうのをやったりとかして、いわゆるYouTubeっていうのは…今の若い子たちってテレビ見ていないんですよ。テレビ見てなくて何見てるかっていうとYouTubeで。いわゆるスマホ世代ですね、その世代の子供達に届けるとなるとYouTubeやTwitterやインスタグラムっていうのは大きいですよね。スーパーJチャンネルとかU-29とか人生デザインとかっていうNHKの番組に取り上げてもらった時には、孫をどうにかしてほしい!とおじいちゃんから電話がかかってきたりとか、親御さんからうちの息子をどうにかしてください!とかっていう問い合わせとかもありますね。これは層が分かれますね、圧倒的に。だからヤンキーインターン自体Twitterとかが一番知れるのではないかなと。」

晋平太へ:質問ではないんですけど。晋平太さんの言う通り、ネガティブなものを強みにするのがラップ的、で、それが日本で例えると落語なのかなと思います。と。

晋「あ〜。(笑)あ〜なるほどなぁ〜。なぁ〜。って感じですね。(笑)」

司「恵まれていると言われている家庭出身の人たちに対して嫉妬のようなものはありますか?」

勝「ないです。で言うと、僕は母子家庭なんですけど…。恵まれているの定義が正直言ってあまりよくわからないんですけど、経済的な格差っていうのは僕は正直なかったです。周りがそうだったからっていう部分で。おそらく、中卒で同じ地元で育った人間がそのままいれば、その価値観とそこでの教育をそのまま生きるのでその中での幸せっていうものがあると思うんですよね。例えば、東京の港区のタワーマンションで育って、教育を受けてきた人にはその人の価値観があるんですよね。で、何が言いたいかというと、そもそも共感の接点が全く違うんですよ。話している内容でも。例えば、極論で、僕の地元でいうと、僕がまだこういう仕事をしていなかった時なんですが、昨日北斗のパチンコ打って200回転くらいいった時に赤ボイルでめっちゃ嬉しかったって話に、うわ〜めっちゃええな!!っていう。(笑)例えば、それが違う層になってくるとそうではなくて、昨日読んだ論文がどうでこういうふうな思いで僕はこうだと思うんだよね、と言うのに対して、あぁ、そうだと思う!ってそういうことが楽しんだと思うんですよね。っていう部分で、共感の接点が違うっていう部分でいうと羨ましいなって思うところっていうのは全然羨ましいと思わないんじゃないかなと思います。経済的な面だとまたわからないですけど。お金とか。お金っていう部分ではなくて文化資本的な話で言うとそう言うのはないのではないかなと思います。」

成田へ:ハッシャダイで非大卒の若者が受け入れられる未来が来たとして、そしたら東京大学にまた進学したいと考えますか?

成「僕は答えはイエスです。大学というか価値というものを3つ思っていて、人と情報とラベリングっていうこの3つを、僕はここ(東大)の価値だと思っていて。まぁやっぱり東大にいて出会える人っていうのは…、まぁもちろん他 の大学に行っても出会えることは出会えると思うんですけど、この大学に通っていたからこそ、出会える人って、で、かつ面白い人っていうのは。みんながみんな東大王とかってテレビでよく東大生紹介されているので、みんなああいった奇人変人の集まりかと思いきや、大抵はここの学祭にもいますけど普通にフライドポテト売ったりとかする普通の人なんですけど、それでもやっぱり東大にしかいないような面白い人がたまにいたりするっていうのはすごく面白いなって思います。で、やっぱ情報っていう面でも、まぁそれもどの大学でも面白い授業ってあると思うんですけど、やっぱり僕は東大の授業がそれなりに面白かったなと思うし、東大にいた、いることによってその友達から得た情報がやはり楽しかったなというか役に立つなというのがあって。もう一個のラベリングっていう点では、自分が東大生であったことによって受けた恩恵っていうのはすごくあるなと思ってて、僕、服のブランドをやっているんですけどそれをプレスリリースに取り上げられる時も、すごく東大生ということを途端に強調されて。やっぱりなんかメディア向けには美味しいし、東大の学生がファッションブランドを始めましたっていうのと、普通の学生や一般人が始めたっていうのはやっぱり世の中の注目度として違ったりするので、そういう中でパワースポット的に注目を集めやすいっていうのは得したなと思ってるので、僕はハッシャダイができても東大に進学したいなと思いますね。」

勝「目的と手段ですよね。正直言うと。」

幸せの基準は人によって違うという観点での質問です。移動することで新しい価値観と出会うことはとても大切な価値観で素敵な活動だと思います。一方で地方で閉鎖的な場所に住む人はそもそも外のことを知らないから、ある種幸せの基準みたいなのが低いと思います。逆に知らない世界を知れば知るほど幸せの基準が高くなっていくことで幸せって遠ざかっていくと思うんですけど、どう思いますか?

成「例えばコンビニのご飯しかずっと食べていなかったらそれがすごく美味しいと、それだけしかなかったらそう思っているけど、実は他にすごく美味しいものをたくさん食べちゃったら、そのためにまたお金を払わなきゃいけなくなるみたいな話に近いのかなって。」

勝「それはなんかあるっすね。今までの状態でも別によかったけれど、選択数が増えることで逆に迷ってしまったりとか。僕はさっきの地元の話と同じだと思うんですよね。別に地元にいても幸せだと思うんですよ、今パチンコ打って毎日夜まで遊んでっていう状態が苦しいかって面白くないかって言ったらその時ってそう思ってなかったんですよ。別にそれでいいわって思ってる状態で。ただ、外に出ることによって色々な価値観を知ることによって、こういう価値観もあるしこういう生き方もあるんだなっていうことを知ることが重要だと思うんですよね。その中で自分が選択したらいいだけの話であって。地方の田舎にいた時の幸せが外に出てしまうことによって変わってしまったっていうのは、逆にいうと変わってしまったっていう捉え方もあるのかもしれないけど、また新しい生き方を知れたっていう捉え方もあると思うんですよね。で、その肯定的な捉え方をする人っていうのは今後増え続けるんじゃないかなと思っていて、比較的格安航空とかたくさん出て来ている中で、色々なところへ移動した上で、やっぱり俺はこれがいいんだっていう決断をしたらいいと思うんです。で、逆に言いたいのはそれらの決断を自分一人ではできないので、ハッシャダイの社員がメンターをやっているんですけど、そのメンターは過去ハッシャダイのヤンキーインターンを経験しているものもたくさんいるんですけど、その子たちと一緒に、今、色んな選択肢あるけどたくさん悩むよね、と、けど悩んだ中で自分の過去の経験だったり、今後の未来のことを考えたときにどういうふうな選択をするのかっていうことをしっかりと明確にした上で選択をする、それが重要なのは選択のところで、幸せの価値観は選択するところという感じなので、まぁ質問としてはちょっと離れるかもしれないですけど、色々と知ることが大切なんじゃないかなと思いますね。」

安「ちょっと思ったのは例えば地方の人が東京に出て来たらとか東京の文化を知ったらということだと思うんですけど、まず知るまではテクノロジーによってガンガン溶けて来ているんですよね。僕も今茨城にいますけどハッシャダイの動きっていうのはリアルタイムでTwitterとかで知ることができるし。今はどこの大学でも地球の裏側の大学でも、ネットで授業を公開しているところってたくさんあるから距離の差ってほとんど溶けて来ているってとても思うんですけど。実際に移動してみて例えば食、例えば新潟の人なんて東京に来て東京のレストランの米がまずいって驚愕しますよね。出て来て新しく、こんなことあったのかって高い価値観を知るのと同時に、出て来たことによって自分のところの気づいていなかった価値の高さに気づくことってたくさんあると思うんですよね。幸せの尺度って一個じゃないから。何かに対してこう、天井ってもっと高かったんだなっていう経験もあるかもしれないけど、別のことで地元の良さに気づけて多分プラスマイナスゼロにできるんじゃないかなって少し思いました。」

晋「僕もちょっといいですか?さっきの質問、夢に優劣はありますか?とか、人を羨みますか?とか、これ知らないほうが幸せじゃないですか?とか、全部マインドの問題じゃないですか。それを気にしている時点でなんかあんまり同じ感じじゃない…というか。なんでそんなこと気にするのかな?って。その地方にいて外に出ていくことで不幸せじゃないですかって。部屋の中で猫飼ってて、部屋の中から外に出ないじゃないですか、猫って。外を知 らないから絶対に出ないんですけど。じゃあ外に出ている野良猫の方が羨ましいと思いますか?とか、その子は外の世界を知ってしまったら不幸になりますか?みたいなこと言われてんのと思うんですけど…。それこそ差なんて、あんまりなくて。あとはやるかやらないかでしかなくて。例えば自分の家は貧乏で、あいつの家は金持ちで羨ましいって思う人は思うでしょうし、それって自分には一切関係なくて、俺にも関係なくて、今聞いていいるみんなにも関係なくて。東大もう一回入りますか?っていう質問もそうだと思うんですけど。東大に入ることは素晴らしいし、入れる能力があれば入ればいいんだけど、じゃあ東大にいる人とも仲良くするし、じゃあ街にいる人やつとも仲良くなれる自分。地元のことも知ってるし、外のことも知っている自分。ヒップホップの文化を知っているし、東大で話ができる自分っていうのもそうなんだけど…なんていうんですかね…。その物事に差をつけない人にな った方が良いんじゃないのかなって。そうしない限り、そういう指標で生きている限り、ずーっとそれを繰り返し続けるし。アラブの石油王にだってランキングはあるでしょ?って。俺、三番目なんだよね、一番は絶対いるんだよねって。それは終わりのないループなんでそこからは絶対に抜け出した方が良いと思うんですよね。その質問を考えるっていう発想が多分、僕らはない。すごく大事なことなんですけど、そういうことじゃない。」

勝「多分、自己肯定感が高い人っていうのもそこに繋がってくる気がしません?あとは僕は一生内省だなぁって思うんです。自分って何がやりたいんだろうとか自分の強みってなんなんだろうってそこがしっかり、多分年を経るごとに変わっていくと思うんですよね。僕も23歳なんですけど5年前にこういう仕事してるなんて思ってもいなかったんですよ。」

晋「23なの!?(笑)」

常に自分が内省していれば自分の幸せ度っていうのも変わってくる

勝「今日、今こういうことをやっていることによってすごく楽しさも感じているし自分の中で嬉しさも感じているんですよね。けど、多分5年前にこういうことをやっていても嬉しさも楽しさも幸せも感じていなかったんですよね。なぜ今感じているかというと今この環境にいて、その環境の中でこういうことができるっていう選択肢がある中で選択しているだけだと思うので、常に自分が内省している、自分はどういったことを目指しているのか、それが明確であれば、自分の幸せ度っていうのも変わってくるんじゃないのかなと思いますよね。」

晋「本当に今言っていた楽しいかどうかっていうのはこれからすっごい大切なことなんじゃないのかなと。自分が何をしていると楽しくて何をしていると充実感を得られるのか、知ってるかな?みんな、っていうことだと思うんですよね。それが何千人を相手にしているから充実感があるんじゃなくて、それが一人を相手にしていても自分がやっている行為、自分が満足できたり、自分がこういうことが好きなんだよなって思える行為だったらそれが一番幸せなことだと思うんです。それを探しにいくことが一番すごく大切なことなんじゃないのかなと思いました。」

ハッシャダイでのラップ講座、次はいつあるんですか?

勝「おっ!!例えばハッシャダイでやるでもいいですし、例えばこういう会場を設けて一般参加ありっていうのもいいですし。まぁあとはちょこちょこラップ講座に興味を持ってくれている全国の高校もあるのでそことかでも開催していくこともあるのかなというところなんですけど、今回のように一般参加向けのものもありだなと思います。」

晋「やりましょう!!ぜひ!!」

成「東大生×ヤンキーのラップバトルなんかも面白そうですよね。いろんな文脈で。」

最後に皆さんに若者や会場の皆さんにメッセージを!

勝「本日はありがとうございました!ハッシャダイとしては中卒高卒の若者の機会格差をなくそうというビジョンを掲げているという中で、やっぱり非大卒の方だけではなくて、超進学校でもキャリア講演をしたりとかするんですけど、多くの若者たちに対して内発的動機っていうのをしっかりと考えてもらいたいなと思っているんですよね。自分自身で自分が決断することに対してしっかりと明確になっているか。内発的動機っていうのは世の中の若者たちが、なぜ進学するのか、なぜ就職するのか、なぜ自分はこの進路を選んだのかっていうのがしっかりと明確になっていれば離職率であったり失業率であったりとか、大学を退学するっていうこと自体もそもそも少なくなっていくんじゃないのかなって思うんですよね。だからこそchoose your lifeっていう言葉を日本に広めていきたいと思いますし、移動することをもっと世の中の若者に対して広めていきたいなと思います。本日はありがとうございました!!」

安「本日はこんなにたくさんの方に来ていただいてありがとうございました!あの法務教官っていうマイナーな仕事をしている人間がこうして皆さんの前に立てたということも含めて、bizjapanの方々にも改めて感謝したいなと思います。非大卒というか低学歴の子達のしかも社会のレイヤーでいったら一番底辺のところと普段向き合っている仕事をしているんですけど、やっぱりいつも思うことということは、もちろん彼らが犯罪加害者であることは忘れちゃいけないなと思って仕事はしているんですけど、犯罪加害者だから彼らが持っている能力が落ちるとか可能性がなくなるということはないんですよね。明日から英語勉強すれば英語がペラペラになる可能性は誰もが持っていて、それが犯罪加害者っていうカテゴリーに入った瞬間なくなるってことは絶対にない。果たして、人の自由や幸せを奪った人間がそれをやっていいのかっていう倫理の問題はもちろんあると思うんですけど、でも僕はいずれ社会に出ていく彼らが再び犯罪を起こさないということは我々にとってもとても幸せなことだと思っているので彼らの可能性を広げるために一生懸命仕事をしているつもりです。僕自身はちょっと前に塾の講師のアルバイトをやっているときにダンスをやっているというだけで落とされたんですよね。クラブで踊っているような人が講師をやっていたら保護者にウケが悪いって言われて、ダンスのために塾講師ができなかったんです。それが今ではダンスやっている講師の方がむしろ人気講師になっていたりして、とても大きな時代の変化が起きたなって体で感じています。非大卒の子達が今直面している状況ってとっても難しいものがたくさんあると思うんですけど、きっとこれが10年くらいしたら変わる可能性がとってもあると思っていて、その時それは何が変える力になるんだろうって思った時にきっと人の拍手だなって僕は思いました。有名な歌手として、メディアに出て踊ってダンスに対して人々が拍手をした時にダンスに対する偏見は無くなって、ダンスやっている人が教壇に立ったりこうして話したり、ラッパーの人たちがどんどん活躍の場を増やしたり、ヒップホップの文化がどんどん広がっていったのも人の拍手があったからだと思いました。彼ら自身が非大卒の人たちがこれから生きていくために、今までの人生の流れとはちょっと違う生き方をするために、きっと1番大事なことは彼らのほんのちょっとの頑張りに誰かが小さくてもいいから拍手をしてくれることなんじゃないかなと今日話しながら思いました。実際目の前に来たら、ちょっと怖いかもしれないんですけど、ちょっと我慢して見てもらって、ほんのちょっとでもいいところがあった時に盛大な拍手を送ってもらいたいなと。音としては小さくてもいいです。心の底から、こいつ、頑張ったなっていう拍手をちょっとでもしてもらえたらありがたいです。そういう時代が変わる1ページに今日がなっていたら嬉しいです。」

晋「ヤンキーインターンのラップ講座の時に一番最後の時に言った言葉が2つあります。それは未来が変われば過去が変わるという言葉。安部さんにも通づるのかもしれないですけど、少年院出身だという過去は本当は変わらないですけど、今、自分が未来、満足してたり納得がいっていたら変わるはずです。少年院に行っていたせいで自分の人生がこうなったではなくて、今、現在に満足や納得がいっていたら、少年院に行っていたおかげでこうなれたとなるはずです。それは大きな違いではないかなと。それともう1つ。皆さん現実って漢字で書けますか?書けますよね、東大ですもんね。(笑)現すに実力の実。皆さんの目の間に現実がある、ハッシャダイにきている人の目の前にも、少年院にいる子の目の前にも、大変な現実がありますけど、それを僕らはひっくり返して。漢字を現実をひっくり返すと実現に変わりますよね。目の前の現実をひっくり返して自分の夢を実現しようと思っているし、皆さんももしそういうことがあるんだったら、重たいですけどね、現実が乗ったテーブルひっくり返して自分の夢を実現してください。本日はどうもありがとうございました。」

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