EVENT
2018.12.4

白熱ヤンキー教室@東京大学駒場祭〜非大卒の若者の現状と今後の可能性を、東京大学で考える〜イベントレポートNo.1

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非大卒の若者向け就業・自立支援を行う株式会社ハッシャダイ。
その創設メンバーである勝山恵一が、非大卒市場の可能性を広げる活動している少年院法務教官・安部顕とラッパーの晋平太と共に、現代の非大卒若年層の学歴格差・経済格差・機会格差について、そして市場の現状と可能性について、東京大学の駒場祭(2018年11月24日)にてイベントを開催しました。
日本一の大学、”東大”で”非大卒”をテーマに行われたイベント、その名も「白熱ヤンキー教室」。その様子をご紹介していきます。

登壇者プロフィール

安部顕(中央左):大阪府出身33歳。2011年震災ボランティアなどに参加しながら受験した法務教官採用試験をパスし、2012年4月より茨城県の水府学院(第1種少年院)にて法務教官として非行少年の更生に携わっている。自ら企画したダンス指導が、少年・職員並びに保護者から好評を博している。

勝山恵一(右端):1995年生まれ。京都府出身。株式会社ハッシャダイの創業メンバー。高校中退後は非行を繰り返していたが、自身の経験を踏まえ非大卒の若者の選択格差を解消するため「ヤンキーインターン」の立ち上げに携わる。現在、過去の経験を活かし全国の高校や少年院などでキャリア教育の授業を行う。

晋平太(中央右):1983年東京都生まれ、埼玉県狭山市育ち。フリースタイル(即興)のMCバトルを得意とし、数多くの大会で優勝。ラップバトル番組『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)では史上初の完全制覇を達成。現在は学習支援教室でのラップ講座や企業向けワークショップなど、ラップの新たな可能性を開拓中。

成田航平(司会・左端):1996年生まれ。東京大学法学部4年。非大卒支援を行うハッシャダイにて複数事業を立ち上げ、自身としてもエストニアにて Gate10 projects OÜ を共同創業者として起業、地域での教育プログラムの開発、アパレルブランド Raipons のデザインを行う。またダボス会議による global shapers yokohama hub のメンバーとしても活動。

第一部:ハッシャダイ事業紹介・研究所発表

第一部ではハッシャダイカレッジのメンバーがそれぞれ研究結果の発表をしました。
石井は「教育社会学から見るHASSYADAIの意義」として、そして深澤は「ラップ実践講座が非大卒若者の自尊感情にもたらす効果」を。


講師に晋平太を招き、ハッシャダイのヤンキーインターンで行われた第三回のラップ講座。
その効果を数値化して、ラップがもたらす効果を具体的に発表しました。

第二部:パネルディスカッション

続いて第二部ではハッシャダイ勝山、少年院法務教官・安部顕とラッパーの晋平太の三人が登壇。
司会は東京大学法学部4年 ダボス会議global shapers yokohama hubメンバーである成田航平が務めました。

(※本パネルディスカッションにおける安部氏の発言はすべて個人の見解であり国・行政を代弁するものではありません。予めご了承ください。)

自己紹介、各自の仕事内容、 少年院について

成田(司会。以下 司)「皆さん生い立ちやバッググラウンドに関して自己紹介をお願いします。」

安部(以下 安)「茨城県の水府学院という少年院から来ました、安部と申します。今日は法務教官ということで日頃、非行少年の更生に携わっている人間の一人として、法務省の代表とかではないのですが、自分が経験したことを率直に話せたらいいなと思って登壇させていただきました。私自身は法務教官7年目になりまして、その前は東京で営業をやっておりまして民間で働いていました。」

晋平太(以下 晋)「ラップやっております晋平太です。ラップをいろんな人に教えたり自分自身がライブ活動をしたりしております。先ほどのハッシャダイのヤンキーインターンで教えたラップの自己紹介はこんな感じ。
♪俺の名前は晋平太。ラップは俺の人生だ。レペゼンは埼玉、狭山、緑豊かなお茶の街だから、趣味も特技もフリースタイル。他のことするの無理みたい。夢は一億総ラッパー化計画。日本中増やすカッケー奴。♪
晋平太って言います。よろしくお願い申し上げます。」

勝山(以下 勝)「株式会社ハッシャダイの勝山と申します。僕自身中卒で年齢は23歳になります。2人の子供がいます。元々僕自身も警察沙汰をおこしたり非行を繰り返した時があったんですけど、僕が今ヤンキーインターンのロールモデルになった人物でもあります。で、僕が今何しているかというと、元々僕自身も不良で悪さをしていたというところと今こういう若者たちを支援している会社にいるということで、若者たちに”choose your life”自分の人生を自分で選択する大切さっていうのを全国の高校や児童養護施設や少年院などでキャリア講演を行なっております。先日も北海道に行っていて、来週は沖縄、再来週は京都と全国を飛び回ってこういった活動を行っております。」

司「安部さんのキャリアが面白いなと思ったんですけど、少年院で働いている方ってどういう経歴をお持ちなのか興味深く。元々パレスチナや被災地でボランティアもなさっていたと聞いています。そういった経緯が今に繋がる部分もありますか?」

安「そうですね。2015年にパレスチナにほんの少しの期間ですけどボランティアに行きました。その後、3.11があった時に僕ちょうど法務教官採用試験を受けたんですけれども、ちょうど一次試験と二次試験の間に震災のボランティアに行きました。大したことはしていないので自慢げに話すことではないのですが。自分の災害経験の無さとか、フリーターで時間があるならば動かなきゃという想いでやったので特別今、具体的に何かに生きているかって言ったらないのかもしれないですけど、こうやって学びにしていただいたり、法務教官の仕事っていうのは多分人生の全てが教えるネタというか教える材料になると思うので、そこで経験して来たことっていうのが海外に興味を持っている人とか、震災や色んな部分での社会支援に興味を持っている人の話のネタになるという部分では役に立っているのかなと思います。」

司「法務官の方って中途の方って多いのですか?」

安「中途あんまりいないかもしれないですね。法務教官は採用試験を受ければ誰でもなれるので、大学や専門学校を卒業していれば教員免許もいらないので、大学を卒業した後にすぐに法務教官になる方もいます。」

法務教官の日々の業務とは

司「日々の業務ってどういうことをなさっているのですか?」

安「これも非常に難しいのですが…全寮制の学校の生活指導主任みたいなイメージを持っていただけると一番いいのかなと。教えることは職業指導とか生活指導とか、体育、クラブ活動とか色々なことをやるので、様々なことを教えなければいけないという意味では、小学校の先生にひょっとしたら近いのかなと思います。日常の業務としては週に一回当直の日に子供が書いた日記にコメントを書いたり、毎月出してくる作文にコメントを書いたり、面接をしたり、日常時の指導以外には一人一人の個別の関わり、そういうような関わりですね。」

司「一日のスケジュールってどんな感じになってるんですか?」

安「基本的に子供たちのスケジュールで行くと7時に起きて9時に寝る。だから彼らは10時間寝るんですよ。めっちゃ寝るんですけど、あんまり遅くまで起きられてしまうと、法務教官の仕事の方の負担が大きくなってしまうというそういう事情もあるんだと思います。少年院に来ている人たちは基本的に生活リズムが不規則な子が多いので、身体の小さい子が多いので普通の10代よりもたくさん寝るっていうのも大事かなと思います。午前中と午後で職業指導と体育と学習指導を受けて空いている時間に集会をやったり日記や作文を書いたり、それを職員が交代でみるという感じですね。」

司「日記ってどんなことが?」

安「普通の日記です。毎日当直の教官がコメントを書くので日記というよりは一人でやるよりは交換日記ですね。晋平太さんいるのでなんなんですけど、すごくラップが好きで日記にラップ熱を綴るという…韻を踏んでラップを書いてくるので僕もラップで返したり。(笑)」

勝「僕の友達の実体験なんですけど、少年院に入る前はガリガリだったのに少年院に入った後はバッキバキになっていて…。」

安「太っている子は痩せますし、痩せている子はそれなりの体型になります。標準になるというか。体育と食事と睡眠。普通の体育なんですけど、それまで運動してこなかった子というか、本来は運動部や部活で体を動かしている子たちなのにバイクに乗ったりして体を動かしてこなかったので…実際、喧嘩してもそんなに強くないんじゃないかという体つきの子が大半ですね。

司「暴れちゃう子を抑えるという役割もあると聞いたんですが、倒されちゃうみたいな心配は特にないのでしょうか?」

安「水府学院という施設だけが標準ではないので、全国の少年院で年齢とか犯罪傾向とかで分けているので、水府学院のことだけを言えば、ほとんど非常ベルはなりません。鳴るとしたら人が倒れたとか、暴れた時とかそういう時だけです。暴れた人を制圧するというのも法務教官の仕事です。僕なんか格闘技を全然やったことなかったんですけど、護身術を法務教官になったら必ず覚えます。」

子供達が本気になった時の力って本当に素晴らしい

司「日々の業務の中でやりがいを感じる部分ときつい部分を教えてください。」

安「やりがいは、やはり仮退院(少年院を出て行くこと)した子たちにいい報告をもらう、例えばアルバイトで店長に褒められたとか、中には大学に進学してとか、良い企業に就職してとか、そういう良い報告を受けた時が1番嬉しいです。個人的にはちょっと語弊があるかもしれないですけど、小学校中学校の先生たちで指導できなかった子たちを社会に送り出して行く、9回裏のツーアウトで逆転満塁ホームランを打つみたいな仕事だなと思っていて、そこはやりがいがあります。それを一番身近で見られるというのは子供達が本気になった時の力って本当に素晴らしくて。九九もできなかった子が1年間で2次関数まで覚えて卒業して行くとか。キツさは当直が眠くて…。(笑)6日に1回くらい夜勤をするんですけど、時間を分けて巡回をしながら日記や作文にコメントを返したりするんですけど、この時期になると寒くて痛いですね。」

司「リアルに若者と接されている中で世の中の偏見とかギャップってそういうものに対してどのように感じていますか?」

安「まず少年院という施設がどういう人が入ってくるところかっていうのがあまり知られていないなと思います。少年院って法律上、保護処分なんですよね。つまりそのまま社会にいたら、もっと悪いことを繰り返してしまうから保護しましょうと。刑務所とは根本的に違います。だから入ってくる子も罪が重いから入ってくるわけではない。極端に言えば最後におかしてしまった罪が100円のガムを盗んでしまった子もいれば、覚せい剤の子も、詐欺の子も、暴力事件で、最悪の場合は相手をしに至らしめてしまった子もいます。罪の重さだけではなくて、その状況や問題性に対して、解決余地が社会生活の中にあるのかどうかというところなので少年院出身=極悪人だっていうことだとちょっと違うということをまず知ってもらいたいなと。ただ、少年院というのは一般とは大きくかけ離れていることは事実なので、偏見があること自体はある程度、もう仕方がないのかなと。それを一人一人が卒業してその偏見と戦いながら社会で活躍して行くことで社会が変わって行くのかなと僕は思います。」

大卒でないと書類さえ受け取ってもらえないという現実

司「実際に偏見っていうものでご自身が見られていた若者が中々生きづらいのはよく見られていたりしますか?」

安「そうですね。やはり仕事に雇ってもらえないとか。学歴も1年とか1年半とか空白ができてしまうので、やはり勘付く人は分かりますよね。手に刺青が入っているとかそういう分かりやすいことがなくてもなんとなく少年院にいた人なんだなってことは伝わってしまうので、就労とかに苦労している気がしますし。東大でこんなこと言うのもなんですけど、どこの大学を出たかって言うのはあまり関係なくなっていると思うんですけど、大学を出たか出ていないかって言うそう言うのは結構大きくて、そう言う学歴社会はまだあるんだろうなと思います。だから日本にどれだけ会社があるのかわからないですけど、おそらく大学に行っていないがために書類さえ受け取ってもらえないと言う企業の方がはるかに多い、そこはやはり苦しい現実だなと思いますね。」

学歴格差・機会格差に対するそれぞれの手段・アプローチについて

司「一方、安部さんが説明してくださった現状があるところで、晋平太さんと勝山さんはそれぞれラップっていうものと移動体験というものでそれぞれ切り込まれていると思うんです。まずは晋平太さんにラップのワークショップっていうものの概要を教えてください。」

晋「ラップのワークショップは、僕は何を目的にやっているかというと自己肯定感を上げたいなと。僕が日本全国ラップで旅しながら、感じたことは結構自分のことを好きじゃない人が多いなと。ラップをやっている人って自己主張が強い人ですし、それは良い意味でも悪い意味でもあるんですけど、僕は良い意味で捉えたら、みんなにとって日本で生きる人にとって非常に大事な労力なんじゃないのかなと。自分のことが好きな人間っていうのはどうなるかというと自分のことが好きだし、自分のことを支えてくれる仲間を大事にするし、仲間とともに家族も大事にするし、先ほどレペゼン、レペゼンっていうのは代表するって意味なんですね。自分が出てきた、自分を育ててくれた町のことも大事にするし、結構良い循環が生まれるんじゃないのかなと。まずその一番最初のきっかけとしてラップを学んでもらう。さっきまぶねさん(ハッシャダイ研究所:深澤さん)も言ってくれましたけど、ラップをする中で自分を内省するんですね。僕が自己紹介でしたラップも自分が誰で、何が好きで、どこからきていて、何をしたくて、どういう目的を持って生きているのか。たった4つの工程なんですけど、それをまず教えます。自己紹介をラップでしてみよう!と。それにはやっぱり自分で考える力と発信する力、それって別な能力な気がしていて。どっちの能力も鍛えられるのではないのかなと。簡単にいうと自己肯定感をあげたら、国自体が面白くなるしラップ好きな人が一人でも増えてくれたら僕らなんかはすごく楽しいんで、そんな想いでやっています。」

ラップのワークショップをやろうと思ったきっかけ

司「活動をやろうと思ったきっかけは?」

晋「きっかけは、もともと僕はラッパーなので、ラップの技術を教えてくれとか。ラップバトルっていうをよくやるんですけど、どうやったら勝てますか?とか、日本全国いろんなところで聞かれていて、そういう技術的なことを教えたり、そういう本を書いたりはしていたんですけど。でもラップの技術を教えたくてハッシャダイさんでラップ講座をしているわけではないんですよね。それは自己肯定感をあげるってさっきも言いましたけど、その重要性にすごく気づいていて。今、都内のある施設、学習支援教室みたいなところでラップを教えているんですけど、そこにいる子たちとかは環境的に恵まれていなかったりとかそれこそ文化資本が非常に乏しかったりする子供たちが多い。で、縁があってそういうところで教えているんですけど。僕らみたいにラップをやっている人間にもそういう人間がすごく多いんですよね。で、僕は、ヒップホップとかラップの文化を、このラッパーやばいな、このラッパーをプロデュースしているこの人ってすごいんだなって、この人が影響受けている人ってどういう人なんだろうって。ヒップホップってサンプリングっていう文化があって、曲には元ネタっていうのがあるんですよね。引用元っていうとわかりやすいかな。その引用元を遡って行くとか。そしたらこの引用元が実は映画で、とか小説でとか、いろんな風に文化の枝分かれをしていることが自分の中で経験できたんで。だからヒップホップでも、なんでも良いんですけどモノを好きになって、自分の中で何かを好きになって、自分の文化的興味をあげてもらいたい。あとは、日本の子供の未来を応援する基金っていうのがあってそういう活動もしているんですけど、そういうところにいる子供達の延長戦に非大卒だったり学歴社会だったり、必ず直面してくる問題で…そういうことを悩んでいた時にハッシャダイさんと出会って、あ、すごくリンクするなって。僕のやっている活動と彼らの信念が。それで今こうやって共に活動させていただいています。」

勝「ちなみに晋平太さんと初めてお会いさせていただいた時に、僕たちとしては教育×ラップであったりとか、いろんなネタ的な要素を通して機会提供してあげたいなという想いがある中で、晋平太さんはラップを世の中の人に広めていきたいという想いがあったという部分で、そこが僕たちがすごくマッチしたなと思っています。今ハッシャダイだけでやっているんですけど、これを全国の若者たちに届けて行く活動をしたいと思っていますね。」

ラップを教えて、アンガーマネジメントをする

司「実際そういう考えの元、そういう活動をしていると思うんですけど、実際に手応えみたいなものはどうですか?」

晋「反応は手応えは…まぶねさん(ハッシャダイ研究所:深澤さん)が効果測定を出してくれたと思うんですけど、実は僕は数値をとってもらったのって初めてなんですけど、やっぱり自己肯定感が上がるんだなとか、すごく嬉しいことですし、若者だけじゃなくて、僕は東村山市っていうところに今住んでいるんですけど、そこの市役所と協力して70歳以上のシニアの方々に教えたり、NHKのバリバラっていう番組があるんですけど、出演させていただいた時には発達障害とか適応障害の子たちにラップを教えて、アンガーマネジメントをしようって。ラップって自分の内面を見つめるってことが絶対必要になってくるんですけど、やっぱりアンガーマネジメントをラップでやったときは、キレてしまう少年。例えば弟が自分が食べようと思っていたものを先に食べてしまった、それによってめちゃくちゃキレるんですよね。でも本当にその自分が食べたかったものを弟が食べたからキレたのかというと本当はそうではなくて、その深層心理に何かストレスがあったり、本当にそれにキレたのかということを確認すると、本当は学校で多数決があって俺は多数派の意見ではなくて少数派の意見だったと。自分の意見が通らないのは別に構わないんだけど、なぜ少数派の意見は正しくないことにされてしまうじゃないっていう。理由も聞かずに多数派の意見が通るっていうのは俺はおかしいと思うんだよねっていうところにラップで問いかけ続けたらたどり着いて。そういう内省する力にも直結するのかなって。みんな偏見や想像、ラップって言ったらドラッグやってるんでしょ?とか不良でしょ?とかそういう意味でラップ自体もそうだし皆さん損している部分がすごく多いのではないかなと。知的な遊戯だし先進的な遊戯だしっていう部分も、それだけではないですけど、危険な部分とか音楽で刺激的な部分も含め、僕は大好きなんですけど。そうじゃない側面、部分的な側面っていうのがあまりにも知られていないんだなっていうことは非常に思っていますね。それを広げたら普通の人でも面白いと思ってくれたりする要素はすごくあるんじゃないのかなって思っています。」

安「今のアンガーマネジメントの話は、現場の法務教官がする話ですね。彼がなんでキレたのかっていうことの、キレるスタート地点にあった出来事ではなくて、その後ろに何かがあってそれに対する考え方が溜まっていてちっちゃなきっかけで風船が割れるみたいにキレていってしまうという。その後ろにあるのはなんなんだろうって考えていくアクションがとっても大事だっていうのは現場の法務教官も常々意識していて、今ここでお話聞きながら、スゲェなって。現場で法務教官に教えていただきたい!!」

勝「水府学院でやりましょう!!」

ラップで自己肯定感を高める

司「ハッシャダイとかに来る子で適応障害じゃないですけどアンガーマネジメントが必要っていうか、非大卒っていうものと適応障害の関係性について感じる部分はありますか?」

勝「そうですね、最近ヤンキーインターンにきている生徒たちは比較的ヤンキーの子って少ないんですよ。晋平太さんには見ていただいたのでわかると思うんですけど時間の流れとともに本当にリーゼントでバイクで暴走している子達って少なくなってきていますよね、この日本の中で。今は引きこもりの子たちとか自己肯定感がすごい低い子たちとか、鬱病だったりとかを抱えている子たちもヤンキーインターンにくるので、そういう子たちに対してラップで自己肯定感を高めるっていうことはすごく重要なことだと思っていますし、まぁそれこそ風船がバーンって割れるキレちゃう時もヤンキーインターンの生徒にもあります。なので、そういう教育っていうのはすごく必要だなって感じます。」

自分を良くしたいっていうマインドがある子は自分のストーリーを語れる

司「晋平太さんは全国でラップを教えているということで、ハッシャダイで非大卒の子たちにやってるっていうところで非大卒だからこその反応や効果はありましたか?」

晋「非大卒全員に言えることではないんですけど、ハッシャダイにいる子たちっていうのはやっぱり変化を求めていて、自分を良くしたいっていうマインドがすごく高いじゃないですか。そういう人は自分のストーリーを語れるんですよね。それは、学歴あるなしは関係なく変わりたいっていうエネルギーってすごいもので、僕らのラップをすることで元々なんでもなかったやんちゃな少年だったり、元々何の特技もなかったやつが変わりたくてラップを始めてそのエネルギーを詰めた。ハッシャダイにいる人たちはそのエネルギーに満ち溢れているわけじゃないですか。変わるんだって勇気を出して一歩を踏み出している彼らにはラップはすごくあっていると思うし、たった三回の授業で何をしたかというと、最初の授業で軽くラップの作り方を教えます、それでビデオを見るんですよね、ホープフルという。自分はいじめられていて、家にも居場所がない、この世界は苦しい、それでも俺は生きるんだというラップを歌っている2人組の白人の少年の。そのビデオを見てもらって、自分をさらけ出すってことはカッコ悪いことじゃないですよねってことを教えます。2回目の授業までに自分の人生や自分のストーリー、なぜハッシャダイに来たのか、なぜ自分の地元を出たのか、なぜ人生を変えたいのかっていうことをラップにしてください、って。で、それを2回目の授業までにはみんなバーってラップを書いて来て。もちろん韻を踏んでる子もいればそうじゃない子もいるけど、みんな自分のライフストーリー、人生を語るんだということには全員ものすごいうまく対応していて。なので非大卒だからってわけじゃないけど、ハッシャダイの子たちには語りたいモチベーションがあるからそれを引き出してあげるっていうのはすごく相性がいいんじゃないのかなと。それほどハッシャダイの子たちのラップは濃かった。できればみんなに見てもらいたいくらい内容も濃くて、非常に感動的なものだった。気持ちがある。」

勝「企業の方や教員の方にもたくさん来ていただいたんですけど、本当に泣いておられる方とか、本当にもう感無量って。雰囲気がすごい空間でした。皆さんにも見ていただきたいし、体験していただきたいなと。」

ラップはアグレッシブな人間だけに向いている訳ではない

司「ラップを全く知らなかった人たちにとってちょっと抵抗とか恥ずかしさとかもあると思うのですが、そういうところはどう工夫されましたか?」

晋「もちろんあると思うんですよ。全然俺、そういうキャラじゃないし。とか人前でラップとかまじで勘弁してくれよ。とかって多分結構思っている人いると思うんですよね。でも同時に、同じくらいの数で、お調子者でラップって結構今は日本でも浸透しているので、俺やってみたい!って子もいるんですよね。で、僕は何をするかっていうとまずはお調子者からどんどんやらしていく。そうすると彼らはわーってやるんですよ。そうすると、そのうちお前もやれよってなって、やりたくねーけどまぁじゃあやるかってやつがやるんですよ。で、それが連鎖していくと、やらざるを得ないのかっていうことになって最終的に嫌だなーって顔してたやつがやるんですよね。でもラップって面白いのが、知的な作業ではあるんで、俺、やります!やります!っていうやつのラップが面白いかって言ったら決してそんなこともなかったり、でもすごいやりたくなさそうな顔してちっちゃい声でラップしているやつのラップがめちゃくちゃ心に響いたり、すごく文学的だったりっていうことは良くあることなんですよね。だからラップをするっていうのは必ずアグレッシブな人間だけに向いているんじゃなくて、さっきの二面性がある、書く力とパフォーマンスする力っていうどっちも必要なんで。実は引っ込み思案の人の方が書く力が優れてたりするっていう。」

ハッシャダイの社員もラップで自己紹介を

勝「ヤンキーインターンの生徒たちにやってもらう前に一度、ハッシャダイの社員にやってもらったんですよ。ハッシャダイの社員ってラップやったことないやつ結構いたんですよ。僕もやったことなかったんで、できるかなー?って感じだったんですよ。でも本当に自己紹介のラップなら、しっかりと晋平太さんに導入部分からレクチャーしてもらえば、自分の過去のエピソードをもとにどんどんパズルみたいに当てはめて、それをリズムに乗って歌うってだけなので、意外と簡単にできるんだよってことを事前に生徒たちに伝えることによって、じゃあ俺もやってみようみたいなところもありました。」

安「自分の想いとか背負って来たものを言葉にするってことってすごく大事なことだと思うんですけど、普通に生きて来た人たちって自分の人生と向き合う時間って少ないんだと思うんですよ。いじめられていない人、普通に生きてこれた人、経済的にも苦労しなかった人、そういう人たちと比べるとハッシャダイに来る人たちとか僕らのところにくる人たちって自分の人生に対して不満を持ったり疑問を持ったりって、多分人生に向き合う時間が同年代 の他の子達よりはるかに多かったんだと思うんですよね。だからこそ、僕も少年院でもダンスとか教えたりしますけど、だからこそダンスとかラップとかっていう文化を手に入れたときに彼らがただの技術じゃなくて本当の意味での自己表現としてそれを手に入れているんだろうなって、僕はヤンキーインターンのラップ講座は見られなかったんですけどなんとなく眼に浮かぶような気がしますね。」

司「晋平太さんがいいなとか素敵だなと思うラップってどんなものですか?」

晋「リズムに乗れるかどうかもわからなくて、人生初めて人前でラップするってみなさん想像してもらえればわかると思うんですけど、めちゃくちゃ必死にめちゃくちゃ一生懸命やるんですよね。でも大切な部分ってそれなんじゃないかなと思うんですよね。技術があるなしはもちろんそれは職業にしたりプロにしたり人に何かを届けるときはマナーと必要なのかもしれないですけど、本当に大事なのは側じゃなくて中でしょうって。外ではなくて内側でしょうって思うんですよね。外ではなくて内側に自分が何を持っているのかを発信するんだっていう気持ち。技術はやれば誰でもある程度良くなるんで。それよりも大事な、初めてラップをしている人のラップって最高ですよね。」

勝「泣けますよね!!」

晋「本当にみんなのラップ、ヤンキーインターンの子たちのラップはどれ聞いても泣いちゃうくらい。」

成「みなさん泣いていましたよね。」

晋「やっている側も泣くと思うし。あれは。」

既存の自己内省とラップの自己内省の異なる点

司「自己内省とかでいうと僕は就職って言葉を思い出すんですよね。就職って自己分析とか自己内省ってすごく言われるので。それって言語と文字でロジカルに自分の過去を説明したりするんですけどラップの自己内省ってそういうところにも使えそうですよね。どういうところが既存の自己内省と違うところなのかなぁと。」

晋「僕、就職活動したことないので…そういうのがあるんだ、と。(笑) でも近いものはありますよね。就職活動に直面した時に慌てて自己分析する人はいろんなツールを使いますよね。アンケートに答えて。色んなツールを使って誰かの指標に合わせて自分の強みをその人から教えてもらう、あなたの強みはこれです、みたいな。ラップとかをやる人は自分でそこでたどり着くんで、それが面接に出て来たときに想い入れが全然違う気がしますけどね。人から言われていることではないので。僕らの内省とか自己主張と、就職とかの内省ってものの大きな違いとしては、就職の場合は履歴書とか書く場合は絵画コンクールで受賞しましたとか素敵なことしか書かないじゃないですか。でも僕らは逆に自分の弱点だったり、こんなにバカだったとか、うちはこんなに貧乏だったとか、俺は何も持っていなかったとか、ネガティヴなものを主張できるんですよね。例えば俺は少年院にいたとか、そういうのって履歴書には書けないだろうけどラップにはかける。それが強みになったり、覚えてもらうポイントになったりする。それが就職のための自己内省とは大きく違って、本当の真実味のあるもの。その履歴書に当てはめるとしたら僕なんて話すこと普通免許持ってますくらいしかないですけど、それ以外を言えるっていうのはラップのいい所なのではないかなと思います。」

会社に入ることがゴールではない

勝「多くの大学生が就職活動をしている中で、すごい思うのが、この会社に入ることがゴールになっているんです。会社に入ることがゴールになっているから会社に入るためにはどうすればいいのかっていうことをすごいみんな考えると思うんです。けど本来はそうではなくて、会社っていうのは何かを成し遂げたいビジョンとか想いがあるわけで、自分の想いと会社の想いがしっかりマッチすることによってその会社に属するわけじゃないですか。で、その会社のビジョンを達成したいからこそ僕は会社でこういうことができるんですよっていうのを面接って本来伝えるべきだと思うんですよね、僕は。だからこそ今の就活っていうのは会社に入るためには…みたいな所なんですけど本来は違うんですよ。自分の過去の経験をもとに、その過去の経験の中から自分はこういう風に社会でこういうなことを達成したいんだというその想いと会社の向かっていく方向性がマッチした時に、その会社に入る べきだし、その会社の方々にそれを説明するべきだと思うんですよね。だからラップはすごい自分の経験をもとに相手に対して自己主張をするという部分でいうと素晴らしいなと思いますね。」

司「晋平太さん的にラップと教育ってものに関して将来的にどうしていきたいか教えてください。」

晋「そうですね、ラップと教育。僕の好きな言葉で”エデュテーメント”という言葉があって、それはエデュケーションとエンターテイメント。それを合わせて”エデュテーメント”。僕はヒップホップやラップは”エデュテーメント”だと思っていて、しかも誰にでもできることだと思っていて。扱うのは言語だけ。音楽があればなお良いですけど、最悪なくてもできちゃう。自分の頭の中と心の中だけでできちゃう。なんで僕はそれこそ子供の頃から自分のことを見つめて…言葉のパワーっていつも言うんですけど。言葉にはどういう力があって、どういうエネルギーがある、人に向けてこういう言葉を向けるとこういうリアクションが返ってくる、逆にいうとこういう風に行って褒めてあげたらその人はすごく喜んだ、言葉によって人を上げることも下げることもできるじゃないですか。そういう大切さを知っている人ってあんまりいないんだよなぁって。自分が発した言葉によって、自分自身もそうだし相手がどういう気持ちになるのかって非常に教育的なものだと思っています。そういうことを学校教育でもいいし、道徳教育でもいいし、もちろん日本の国語の勉強でもいいし、そういう風に入れていけたら。日本人は自己主張が苦手だとかよく言われるじゃないですか、そういう部分も改善できると思うし。僕はなんなら和歌とか短歌とか俳句なんてラップはそれが現代文になっている。即興であったり歌だったり、あるじゃないですか。必ず地続きのものだと思ってるのでもっと言語に触れて、言葉っていうのはなんなのか、言葉が自分の人生にどういう風に左右しているのかを”エデュテーメント”して教育に入れていけたらいいのかなと思っています。」

No.2へ続く。

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