ヤンキーインターン
2018.5.2

現役高校教師が教えるヤンキーインターンの国語の授業「知的書評合戦-ビブリオバトル-」

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ハッシャダイではヤンキーインターン参加者のために、これまでの人生では決して出会うことの無かったような各分野で挑戦する外部講師を招待し、様々な観点から成長に繋がるような講演会や、企業説明会を定期的に行なっています。

本日は、現役の高校国語教師、上田祥子先生にお越しいただきました。

上田祥子先生
以前から全国の若者に広がる知識や情報、機会、など様々な格差を感じており、何か自分にできる事はないかと日々考えていたところ、ヤンキーインターンを知る。「CHOOSE YOUR LIFE」に強く共感し「言葉の力」「母語の力」「教養の力」を若者達が手に入れれば、人生の選択肢を増やすことに繋がるのではないか。その想いから「言葉の力で夢を叶える」というテーマの特別授業が実現し、本日は2回目の授業を行なっていただきました。

前回の授業の振り返り

上田先生:みんな久しぶり!
前回の授業では語彙力の大切さ、論理的思考力を身に着けるための手立てについて学びましたね。最後に「具体」「抽象」を往還させた「型」に沿って感想文を書いてもらいました。授業の前と後の文章を比較させてもらったけど、全体の構成も語彙も予想以上に成長していて驚きました。本当にすごい!

では何人かの実際の文章を見ながら考えましょう。

振り返りでは、スクリーンに4人の生徒の感想文の画像が映し出され、良い点、改善点それぞれ具体的に説明されました。

上田先生 ある程度書ける人は、きらりと光る一言を表現できるといいかな。そのためには、何気ない会話でも言葉を「選択」して生活するといいと思います。書くこと自体が苦手な人は、まず一文を60字以内にすること。テーマは一つに絞ること。かっこいいこと言おうとして無理をせず、平凡でも相手に伝わることを優先する。そんなことを意識しましょう。
カタカナ語はついつい使ってしまうけど、意味がずれていたり、何度も使うと逆効果。カッコ悪くなっちゃうので注意してね。笑

さて、今日のメインテーマはプレゼンテーション。みんな、しっかりビブリオバトルの準備してきた!?

★ビブリオバトルとは

「ビブリオ」は書物などを意味するラテン語由来の言葉で、「ビブリオバトル」とは、ゲーム感覚を取り入れた新しいスタイルの「書評合戦」。ビブリオバトラー(発表者)たちが各自おすすめ本を持ち合い、5分間で本の魅力をプレゼンします。最後に、会場にいるバトラー、観客全員で「どの本が読んでみたくなったか?」を基準に投票し,「チャンプ本」を決定する。といったものです。
勝つためには、本の内容を理解した上で、時間内にどのように話せば魅力が伝わるかを考えなければいけません。その過程で論理的思考力、プレゼンテーション能力といった「言葉の力」が養われるのです。

今回は5チームに分かれ、まずチーム別で戦い、そこで勝ち残った生徒5人で決勝戦、というルールで行います。

前回の授業で上田先生は
・聞き手に貢献するものにすること(影響力)
・印象に残る言葉(パワーワード)を使うこと
この2点を強調されていました。
それを意識し、全員この日ために、1ヶ月前から本を選び、プレゼン練習に取り組み準備を進めてきました!

どんな書評を聞くことができるのか、とても楽しみです!

ビブリオバトルスタート

制限時間は5分間!スタートと同時に、研修ルームに声が響き渡る。

みんな思い思いの本を持ち寄り、魅力をプレゼンします。

いざ始まって気づくのが、「決められた時間内できっちり話をまとめる難しさ」時間を計算して練習してきた生徒は綺麗に5分でまとめていましたが、あまり時間を意識していなかった生徒は「2分で話終わってしまう」や、「5分過ぎても全然纏まってない」と、ビブリオバトルの洗礼を受ける事に。

各グループのプレゼンが終了し、多数決の結果、五人のバトラーが選出されました!

決勝に残ったメンバーを紹介します!

エントリーナンバー1 DAIKI
書評本:『明日死ぬかもよ』
著者:ひすいこたろう

エントリーナンバー2 KAZUKI
書評本:『天才』
著者: 石原 慎太郎

エントリーナンバー3 TORU
書評本:『バッタを倒しにアフリカへ』
著者: 前野ウルド浩太郎

エントリーナンバー4 TAKA
書評本:『伝説の新人』
著者: 紫垣樹郎、 小宮謙一


エントリーナンバー5 GOU
書評本:『僕の杖はコーヒー』
著者:岩野開人

流石決勝に残ったメンバー。みんなプレゼンのレベルが高い。

最後の投票、接戦の結果、チャンピオンに輝いたのは・・・。

『明日死ぬかもよ』をプレゼンしたDAIKIでした

DAIKIの名プレゼン、動画で紹介しちゃいます!

ジェスチャーや熱の込め方や、問いかけをして、対話を取り入れたり、聞き手を引き込む素晴らしいプレゼンでした

プレゼン下手で有名なわたくし、即座に弟子入りすることを決意しました。
ご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い致します。

そして、惜しくも次点となったKAZUKIは、「祥子せんせい賞」。本を選ぶ段階から「聴き手」であるハッシャダイ生と似た境遇の田中角栄を選んだことと、プレゼンにかけた気持ちの強さに心打たれたとのことでした。ぜひご覧ください!

上田先生から生徒達へメッセージ

上田先生:みんなお疲れ様でした。初めてのビブリオバトル、どうだったかな?こんな風に楽しみながらいろいろな本と出会えて、「言葉の力」も鍛える事ができる。すごくない?笑。私の授業としては、今日で終わってしまうけれど、ぜひみんなで開いてほしいな。
そしてもう一つ、プレゼンテーションの際に忘れないで欲しいのが「あなたがプレゼンすることで聞き手の貴重な時間を奪っている」ということ。だからこそ、どんな時も「聞き手に貢献する」ことを大切にしてください。

上田先生:じゃあ、最後にみんなにメッセージ。
私が2回にわたり「言葉の力で夢を叶える」というテーマで授業をさせてもらったのは、言葉の力が、みんなの人生の選択肢を増やすことに繋がると信じているからです。
「夢」つながりで少しだけ「言葉の力」から話がそれるのですがお付き合いください。
私は、夢や目標を掲げるときに「叶った時に自分以外に喜ぶ人がいる夢」を意識する事が大切だと思っています。もし夢が自分だけのためものだったら、頑張ることに疲れて諦めちゃうかもしれないけれど、自分以外の人や、世界中の人が喜ぶ夢なら、きっとその人たちへの思いが背中を押してくれるのではないかな。
そこでぜひ、今、世界中の国々が2030年に向けて実現しようとしている17の「夢」。「SDGs(Sustainable Development Goals持続可能な開発目標)というものがあるということを知っておいてほしいなと思います。

私の夢は「すべての人が、生まれてきてよかったと笑い合っている世界が見たい」というもの。壮大でしょ。笑。SDGsで言えば1・4・5・10・16・17を意識ながら仕事をしています。そのほうが楽しい。
みんなにも、自分、相手、そして世界が喜び幸せになれる夢を見つけてほしいなと思います。

あ。でも、何よりも一番大事なのは、まず自分を幸せにしてあげることだけどね!笑

これで私の授業は終わりです。
前回と今日合わせて2回の授業、みんなと同じ時間を共有できて本当に幸せでした。私は先生という、教える立場で来たけれど、みんなから教えられることのほうが多くて、私自身とても大きく成長できました。本当にありがとう。ここで得たもので、みんなの人生が少しでも豊かになればこれ以上の喜びはありません。
繰り返しますが、皆さん一人ひとりが「宝物」です。自分自身の価値を信じぬいてくださいね。
これからますますのご活躍お祈りしています。

上田先生の授業を受ける生徒の姿を見て、本当はみんな学ぶことは好きなんだな、と改めて感じました。なぜ、なんのために学ぶのか。勉強する目的をしっかりと示してあげれば、みんなどんどん新しいことを学ぼうとする。

上田祥子先生、この度は貴重な経験をさせていただき本当にありがとうございました!

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